休講になったので、こんなのを書いてみました。


   捏造SS   エディフェルとの邂逅

 俺は傷ついた体を引きずり、ほうほうの体で雨月山を下りていた。
 下りているというより、命からがら逃げているというほうが正確だろう。
 俺以外の人間が『鬼』によってどんな悲惨な最期を迎えたかは知らない。
 今の俺にできるのはただただ逃げることだけだから。
 桁違いの力を誇る異形のもの…『鬼』…の前では人間など獅子に追われるウサギに等しい。
 実際、エディフェルという名の『女の鬼』にすら歯が立たなかったのだから。

 必死で逃げる俺の目に家の灯りが映る。
 今の俺にとってはまさに希望の光。
 その家の玄関にたどり着いた俺は、どんどんと戸をたたいて叫ぶ。
「旅のものだが、一宿一飯お願いしたい」
 戸が開き、出てきた『女主人』を見て俺は肝をつぶした。
 先ほど俺を半殺しにした『女鬼』だったから。
 あの魂まで吸い込まれるかのような美しい瞳に、摩訶不思議ないでたちもそのままだ。
 腰を抜かした俺に手が差し伸べられる。
 殺されるのか?
 せめて刀だけは持って逃げるべきだった。
 だが、狼狽する俺にかけられたのは意外な言葉だった。
「お晩です」