トースターから飛び出したパンに、たっぷりとピーナッツバターを塗る。
 はい、と何気なく手渡せば…さんきゅー、と何気なく受け取る。視線は朝刊に
釘付けのまま、時折コーヒーをすすったりして。
 すごく素っ気なくされてるけど、これでもあたしの幸せ。毎朝同じ事の繰り返し
だけど、そのぶん悪巧みを始めるとワクワクが止まらない。
 ある朝突然、旬のイチゴで作ったジャムを塗って手渡したりする。
「…上手いジャムだな。」
「誰が作ったと思う?」
「え?もしかして、お前?」
 これで幸せ、ダブルアップ。

 同じ大学の同じ学部だから、お昼は一緒に食べることが多い。
 毎日のお弁当を考えるのは、まるでパズルゲームのよう。ワクワクしながら
アイデア搾って、ドキドキしながらレイアウト。学食なんかに浮気されたくないから、
毎日がこれ真剣勝負。それでも、これもあたしの幸せ。
 そして今日も勝負の時は来た。パカッ、とフタが開けられて…
「おっ…じゃ、いっただっきまーす…」
 小さな驚きと、弾む声。見た目でもう待ちきれなくなってる。
 このリアクションを見ることができて、幸せダブルアップ。

 特別な事情がない限り、夜の献立はみんなで決めて、みんなで作る。
 テーブルを片付けて、料理を運んで…ビールを開けて、今日一日に乾杯。
 思い思いに箸を巡らし、グラスを傾げながら心ゆくまでおしゃべり。いつしか
みんな和んだ様子。今日の晩酌も、お互い大満足だったみたい。
「ふ〜、食った食った!しかし、こんな美味いモノに囲まれた生活してていいのかねぇ。」
「いいのいいの!あたしたちで美味しく作ってるんだから、文句言われることないよ〜☆」
 なにも変わらないからこそ…みんなの笑顔が、あたしの幸せ。