【女の子】「…あっ!」
ぬいぐるみを持ち上げた。
【女の子】「いたよ、おかあさん!」
【母】「なにが?」
【女の子】「かみさま」
【女の子】「今、この中にいるよ」
【母】「ほんとう?」
【女の子】「だって、ぬいぐるみだと思って見てたら、かくれようとするんだよ」
【女の子】「まいか、びっくりした」
【女の子】「きっと、かみさま、この中にいるんだよ」
【母】「そう…」
【女の子】「かみさま、かみさま、おねがいがあるのー!」
【母】「まいか、そんなに乱暴に振り回したらダメよ」
【母】「お母さんに、かしなさい」
【母】「まだ新しいみたいね…」
【女の子】「どうするの?」
【母】「ここに置いておきましょう」
【女の子】「いやだ、まいかのにする!」
【女の子】「まいかが見つけたから、まいかのかみさまだもん」
【母】「まいか。神様はだれのものでもないの」
【母】「ここが神様のお家だからね。返してあげましょうね」
ぬいぐるみをそっと、階段のはしに置いた。
女の子は残念そうだった。
でも、すぐに大きくうなずいた。
【母】「さ、お願いしよ、まいか」
【女の子】「うん。今ならおねがい、ばっちり聞いてもらえるね」
【女の子】「かみさま、この中にいるから」
【女の子】「おねえちゃんが、元気になりますよーに」
【母】「さいかが元気になりますように」
ふたりは両手を合わせて、しばらく黙っていた。