彩と暮らそう! 其の伍 桐ダンス

俺の背後に聳え立つ不気味な影…
先週、彩が自分の家から持って来たタンスだ。
かなりの年代モノで造りもしっかりしている。
骨董屋に持っていけばそれなりの値がつきそうなくらいに……
……だが、このタンスには何というか…彩に似たオーラを放っているような気がして仕方がない。
「彩、何でまたタンスなんか持って来たんだ?」
「……この……タンスは…ただのタンスじゃ…ないの…」
「えっ?どんな風に?」
まさか、悪霊がとり憑いているとかじゃないよな?
「………まず…材質……このタンスは、桐を使って作られています……」
「桐?」
「…はい……桐は吸湿性が少なく…タンスの材質には最も適しているんです…」
「なるほど。だからわざわざ自分の家から持って来たんだ」
「………それと、このタンスには…もうひとつ……大事なことがあるの…」
「まだあるの?」
「……このタンスは…お母さんのお家に代々伝わるもので―――――」
「………はい?」
嫌な雲行き……
「…女の人が…お嫁に行くときは……一緒に持っていくという慣わしがあるそうで……」
「あ、彩?…それってまさか、嫁入り道―――――」
ぴた。
俺の唇に人差し指をくっつける彩…うっすらと頬を赤らめている。

俺は全てを悟った。彼女が後ろ手に隠し持っている婚姻届を見て………