自分のデコをペシペシと叩く。いつの日からだろう、こんな癖がついたのは。
他人から見れば、まるでピエロの如くに己の欠点を敢えて笑いに変えている
行為と映るだろうし、それは決して間違いではないのだが、しかしそれとは別に、
掌がデコに与える衝撃にどこか期待している自分がいる事も偽れない事実である。
馬鹿馬鹿しいとは思うが、この行為はどこかわたしの持っている発毛のイメージ
(休止している毛根の細胞が、叩くたびに目覚めていくような…。確たる根拠は
ないのだが)と結びついているのだ。ひょっとして…、万が一…、悲しい事だが、
そんな一縷の希望をわたしはいまだに捨てきれない。

「いやー、やっぱ月代ちゃんにはかなわないや!」
ペシッ、ペシッ

一歩、また夢に向かって近づいたかのような手応えが、自分でも滑稽だと思う。