今日もひたすらにD51を走らせる。しゃがみこんだ自分の足先を中心とする
半径右腕の環状線をあたしのD51はつや消し黒の体躯も誇らしげに駆け抜ける。
ぎゅーん。ソファーの下を潜る時は徐行運転だ。ソファーの足で分断される動力。
手を離し、慣性で直進した機関車を再度すばやく統制下に置く。肩甲骨に伝わる
遠心力に対抗する力は身体全体で作り出す。
「ぐいーん! ガガガガガ!」

半分開いた歯の隙間から不随意に声が漏れた。楽しい。

運転士はあたしだ。石炭をくべているのは月代ちゃん。
(何やってるの、トルク落ちてるよ!)
(そんな〜、これでも最大出力だよ〜)
(そんなんじゃ次の斜面で停車しちゃうじゃない! 根性でなんとかしてよ!)
(ガンホー! ガンホー!)
すすの匂いも心地良く。身体全体で風を受けて。
(ユウちゃん、鉄橋だよ!)
(わかってる!)
タイミングをみて、汽笛の紐をぐっと引っ張る。遠くの者は音にも聞けD51の晴姿!

「ポップをオォーーーーーー!!」

髪を振り乱し叫んでいた。超楽しい。