1がにこにこしながら紹介したその少年は、なんだか存在感に欠けるというのか、
個性がないというか、おどおどした線の細い男の子だった。
「ど、どうも名無しです」
彼氏は肩を縮こませながらぼそぼそと言った。そこそこ顔立ちはいいようだが、
でもそれでも特に魅力的という訳でもない。オタクっぽい子だ。
「はじめまして。1の母です」
それでも一応、彼女の方も挨拶はする。
「お母さん、名無しくんはこう見えても(萌えの)好みがうるさいんだからね。
ちゃんとしたおもてなしをしないと」
1はなんだか、妙に浮き浮きしているように見えた。
「い、いえそんな。おかまいなく」
名無しさんとやらはあわてて首をぶるぶると振ったが、その態度もなんだか頼りないというか、
断るなら断る、お願いするならするではっきりしたらどうかと思う。