「……ち…千鶴さんっ!」
「嘘……」
あゆと、目を覚ましたマナが死体にすがり付いている。七瀬と晴香は無言で立ち尽くしている。
さんざん泣いたあたしが言えた立場じゃないけれど-----急がなきゃいけない。
「あゆ、行こう」
「うぐぅ……」
盛大に鼻水までたらして、あゆは泣いている。レースの上等そうなハンカチーフをとりだして、鼻をかんでやる。
「しょうがないな…ほら…」

あゆの鼻をぐりぐりしながら、全員の様子を見る。あたしは脚に裂傷。繭は左手に被弾したが傷は浅そうだ。
晴香と七瀬は腹に貫通傷。マナは出血こそ派手だったが、肋骨の上を滑っていただけのようだ。むしろ打撲が酷い。
あゆは無事だが、戦力として期待するのは間違っている。

あたしと繭を除けば、肩を組み気力で立っているような、七瀬と晴香に期待するしかない。
足を引き摺って、二人の前に立つ。
「お互い、ぼろぼろだね」
「そうね。でも、これで最後なら-----」
「-----根性、見せないでもないわよ」
そこは乙女の意地でしょう、と七瀬が修正する。

……悪いけどあたしは、乙女って柄じゃない。
たぶん、ここにいる誰も柄じゃない。

『耕一さん!あっちです!!』

繭が叫んでいる。神奈を発見したのだろう。
「繭!どっちだ!?」
そう言いながら、あたしたちは各々の可能な限りの速さで走りだしていた。
「あそこです!ああっ!」
「な----------!!」