「鬼よ滅せい!」
「ふっ!」
短い気合いの言葉を重ねあい、二人の刃が激しい音をたててぶつかり合う。
剣に質量があるのかどうかは、判らない。しかしその大きさに見合った威力を発揮して、千鶴を転倒させる。
「しょせんは小細工よの!!」
そのまま余った左手を無造作に梓へ向け、ずどんと回廊に衝撃波を響かせて梓を吹き飛ばす。
彰のところまで転がった梓を放置し、迷うことなく千鶴へ右手を上げる神奈。
「死ぬがよい!」

 ズドン!

千鶴への攻撃を阻止したのは、横からの発砲。やはり羽根がそれを叩き落したのだが、一部がすりぬけている。
ベネリM3の散弾が、神奈の-----いや、観鈴の手に数発埋っていた。
「-----人間の小細工だって、捨てたもんじゃないだろう?」
耕一が歯を食いしばりながらも、笑みを浮かべて言い捨てる。対する神奈は不快そうに一瞥をくれると、滴る血を
払うように腕を振り下ろした。するとめり込んだはずの散弾が軽い金属音とともに床を転り、傷が塞がったのだ。
「……な…何だって!?」
呆然とする耕一。
無言で立ち上がる千鶴。

(-----耕一さん)
誰しも忘れていた繭が、耕一の背に隠れるようにして問いかける。
(なんだい?)
(観鈴さんを救うことは-----可能だと、思いますか)
短い沈黙の後、首を横に振る。
(助けたいけど-----今では殺すどころか、生き残ることすら-----できるかどうか、怪しいね)

 (いえ、それなら-----観鈴さんごとなら-----可能なんです)
 自信に裏打ちされているのだろう、あまりの直接的な物言いに耕一は驚き、振り向いた。
 そして繭の手に見たものは。見慣れぬ、銃のようなものだった。