(千鶴姉-----)
(梓-----)
二人は目で頷きあう。現在、神奈は銃に頼っている。彰を倒したような、剣を飛ばす技は消耗が激しいのだろう。
おそらく手持ちの銃の弾丸が尽きるまでは、それに頼るはずだ。そしてここにいる三人は防弾服を着ているし、
神奈はそれを知らない。ならば頭部さえ守ればダメージを受けることはあっても、接近は不可能ではない。

 千鶴が一太刀いれれば、勝負は決まる。
 接近し、あの剣をかわせれば-----勝ちだ。

 タタタ!タタタ!タタタ!

「神奈あぁ!」
叫んで梓が突進する。
もちろん、これは囮だ。梓にとって接近する利点はない。
対応するため振り向いた神奈に向かい、千鶴が背後に回りこむ。
足音はHMGUのセミオート連射音に掻き消されており、容易に距離を詰めて行く。

(-----やったか!?)
繭をおろし、遅れている耕一は銃を構えながら接近しつつも、戦いの行方を瞬きひとつせず注視していた。

しかし、相手は常識の通じる相手ではない。ここぞという時には、固有の能力を惜しげもなく発揮するのだ。
羽根が揺れ、弾丸を全て無効化すると同時に振り向き、知っていたかのように千鶴を正面に見据える。
手に持った剣が、神奈の右手の動きに従い、意志を持って飛び出すように神奈の背後に回る。
「-----なっ!?」
剣は宙を舞い、梓の太腿のあたりをざっくりと切りつけた。僅かに遅れたとは言え、剣の旋回速度は視認すら
怪しいほどで、梓でなければ両の脚を切断されていたかもしれない。
剣はそのまま速度を増し、軌道上に入り込んだ千鶴に襲いかかった。