「むかつく猫ね! あたしが何したってのよ!?」
「もう、いじめちゃだめだよ!」
階段を上りながら、七瀬とあゆが果てしなく口論している。
再び始まった頭痛と幻聴を忘れるには、このやかましさも悪くない。

「晴香さん? なんだかつらそうよ?」
「ああ-----ちょっと、ね」
何故だか刀を握り締める手に、力がはいる。
この調子で銃なんか持った日には、誤射してしまいそうだ。
アタシは用心のために右手の銃を鞄にしまうと、刀に持ち替えることにした。

「……晴香さん?」
「いや、なんでもないんだって」
無理に苦笑して誤魔化す。また七瀬に、頭の心配をされたくはないからだ。

それでもマナは、そばを離れようとはしない。
(こうべたべたされるのも、困ったもんね……)
そう思うと、本当に苦笑できた。

「そうだ! 解ったわ!!」
「うわあ! 七瀬さん、突然大声出さないでよ!」
七瀬がガッツポーズをして叫び、あゆがびびって飛び退いた。
「みゅーみゅー言ってれば懐くかもしれないわ!」
「うぐぅ……絶対、懐かないと思う…」

 ……呆れて笑う事だって、できた。