だが、2日後にかかって来た一本の電話から事態は急転する。
健人君の母親が、「女同士でお話がしたい」と、玲子さんをファミレスに呼び出すのだ。
「主人があんなことを言ったのは、以前、バイクで事故を起こし、ヤクザに脅された経験があるので、
またお金を脅し取られるのではないか、と思ったからなんです。申し訳ありません」と、母親は言ったという。
「健人君がこんなことをしたのにも、親の責任がある。子供をいい方向に導いてあげるのは親の役目です。
何とかしてあげて下さい」玲子さんがそう答えると、
「私たちのせいで、引っ越さなければならないなんて、本当に申し訳ありません」と健人君の母親。
そんなやりとりの中、引越し費用を鈴木家が負担することが決まり、お互い「ありがとう」と言いながら別れるのである。
だが、玲子さんは翌々日、「あんまりひどいことを言わない方がいいですよ」と警察から電話を受け、仰天する。
なんと健人君の父親が「妻が恐喝された」と警察に訴えたのである。
玲子さんが言う。
「『(現金の入った封筒を)受け取ったでしょう?』と警察が言うんです。私が何も受け取っていません、と言うと
警察は驚いたようでした。事情を話したら、すぐわかってもらえましたが、私のほうも驚きでした。あまりにひどすぎます」
その日の夕方、玲子さんは校長室で健人君の父親と向かい合った。
「女房は怖くて夜も歩けない、と言っている」と、父親。玲子さんは、あまりの言い草に席を立とうとしたが、
「子どもに手を出したら、ただではすまんぞ」と、再び父親が言い放ったという