510 :冬に来た猫 :01/12/04 00:21
2年前の冬、迷い猫を保護した。
毎晩のように泣き声がマンション中(ペット可)に響いたので、
ある日、ドアを開けて様子うかがったら、その猫と目が合った。
あっという間に走り寄って来て、スルリとウチに入ってきてしまった。

獣医に連れて行ったところ、生後1年半くらいのメスで、
避妊手術は済んでいるようだった。
寄生虫や病気もなかった。

ちょうど暮れも押し詰まった頃だったし、
元の飼い主が置き去りにして夜逃げでもしたのかも知れない、と思った。

しかし、先住猫との相性が最悪。
新入りは、完全室内育ちでぽーっとした先住猫を追回し攻撃を仕掛けた。
先住猫はその度にゴソッと毛が抜け、部屋の隅に逃げ込みおびえていた。

仕方ないので、新入りは普段あまり使っていない部屋に入れ、
先住ネコと隔離した。
何の迷いもなく人の布団に入ってきて寝ようとするような猫だったので、
毛布とムートンで寝床を作り、一晩中ヒーターを入れてあげた。

私と二人きりになると、その猫は前足で私の手首を抱きかかえ、
指に吸い付きいつまでもしゃぶっていた。
『愛情に飢えているんだね、寂しい思いをしたんだね』
いじらしさと不憫さで涙がこぼれた。
先住猫を苛めるのも、飼い主の愛情を一人占めにしたいからだろうと思った。


511 :冬に来た猫 :続き :01/12/04 00:22
でも、このままでは、先住猫がおかしくなってしまう…。
私は、新入りの里親を見つけることにした。

マンションや動物病院は勿論、スーパーの掲示板、
地元のフリーペーパーなどで募集をしたが、
成猫の貰い手はなかなか見つからなかった。

こうなったら最後の手段と、猫を連れてターミナル駅のロータリーへ行った。
「この猫もらってください」のポスターを作って。

猫は最初ちょっと興奮したが、すぐに落ち着き、
リードに繋がれたまま私の傍らでおとなしくしていた。
「かわいー♪」と寄って来る人にも素直に撫でられ、抱かれてた。

数時間して、若いカップルが立ち止まり猫を抱き上げた。
彼女は、黒いセーターに毛がつくのもかまわずに
いつまでも抱き締めて撫でてくれた。

一週間ほど後、その猫は彼女にもらわれて行った。

しばらくしてから、猫が新しい名前をもらい、
とても可愛がられている様子が綴られた手紙を頂いた。

いつでも優しく撫でてくれる家族がいるから、
もうあんなにきつく抱きつく事もないのだろうな。
きっと毎晩誰かと一緒に布団の中で寝ているだろうね。

冬になると、一生懸命甘えてきたあの猫の事を思い出す。