「花岡事件」加害の地から平和発信活動に取り組む市民団体「日中平和大館会議」(川田繁幸代表)は、事件の関連資料常設展示場と現地フィールドワークの拠点として大館市内に建設を
目指している「花岡記念館」の基本構想について、東京や大阪の中国人強制連行研究グループと話し合いを進めている。九月の大阪に続き、二回目の会合がこのほど大館市内で開かれ、関
係者二十人がコンセプトを協議したあと、展示の参考にするため大館郷土博物館などを視察した。
日中平和大館会議は、「花岡事件を記録する会」や「日中友好協会」など、大館市で平和運動に取り組む既存団体を一本化し今年五月十七日に発足。市内外からの来訪者を受け入れ、
事件現場の案内や、市主催の中国人殉難者慰霊式と連動した活動を展開している。
事件の生存者・遺族が、使用者だった大手ゼネコンの鹿島に約六千万円の損害賠償を求めた訴訟が昨年十一月に東京地裁で和解したことを受けて、
和解後初の市主催「慰霊祭」が開かれた翌日の今年七月一日、記念館建設に向けた運動をスタートさせている。
大館で初開催された会合には、東京の「中国人強制連行を考える会」(田中宏代表)や、大阪の研究グループの会員らが参加。「建設」で意見が一致している記念館について、
資料展示を中心とするか、博物館的な内容にするか--など基本コンセプトを話し合った。
さらに、小坂町の郷土資料館や鉱山事務所、大館郷土博物館なども視察。記念館を現地フィールドワークの拠点とする構想もあるため、
出発前に館内で事件の概要を学習できる地形図やビデオ設置の参考にした。
花岡を中心に検討中の建設地も数カ所視察した。
次回の会合は来年一月下旬に東京で開催予定。事件に関する裁判記録や研究者が所有する資料など、
記念館への収用物について検討を重ねるという。
関係者は「慰霊式などで大館を訪れ、深い傷をいやすことができた--という生存者・遺族の声を聞く。
史実を保存し、語り継ぐことで互いに触れ合い、わだかまりが緩やかにとけるような記念館を実現させたい」としている。
日中平和大館会議は、毎月第三木曜日に大館労働福祉会館で定例会を開催している。だれでも参加可。会員を募集中。
花岡事件 太平洋戦争末期、強制連行された中国人九百八十六人が花岡町(現大館市)の鹿島組(現鹿島)中山寮に収容された。
花岡川改修工事などに従事させられたが、酷使や虐待で死者が相次ぎ、昭和二十年六月三十日夜、耐えかねた中国人が一斉蜂起。
鹿島組関係者ら五人を殺害して逃亡、まもなく鎮圧された。事件後の拷問による死者を含め、中国人死者は四百十八人に上った。
生存者・遺族は八九年十二月に花岡受難者聯誼会を結成、鹿島に▽謝罪▽補償▽記念館建設--の三項目を要求した。謝罪は九〇年七月の共同発表で、
補償は昨年十一月の訴訟和解で解決。記念館建設は、中国でも和解基金運用のなかで協議されている。