わがいほは都のたつみ鹿ぞ知る 世をうじ山と人はいふなり
たごの浦にうち出でて見れば白妙の ふじの高嶺に雪は降りつつ
しのぶれど色にでにけり我が恋は ものや思ふと人の問ふまで
あまつ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ をとめの姿しばしとどめむ
ほととぎす鳴きつるかたを眺むれば ただ有明の月ぞ残れる
かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける
ももしきや古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり
なつの世はまだよひながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ
これやこの行くも帰るも別れては しるも知らぬもあふ坂の関
わたの原八十島かけてこぎ出でぬと 人にはつげよ天のつりぶね
いま来むと言ひしばかりに暁の 有明の月を待ちいでつるかな
よの中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱でかなしも