ガチムチの六尺兄貴のガイドライン 23尺目
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0849水先案名無い人
2007/12/19(水) 00:55:47ID:Bj6ukW2x0外套を脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれのセーターを整えた。テレビの前に立ちリモコンを持つ。
既にビールを注ぎ、倅からの贈り物は俺の再生を待つ。
背筋を伸ばして電源を点けると、モニターを青に染めて、ビデオ2の画面がそこにあった。
「倅の一家一本の近況報告だぜ」声に出していう。
「俺はそういえばお爺ちゃん」
やおら菓子袋の脇から、ズルムケ状態の甘辛酢漬スルメを取り出す、皿に柿ピーをたっぷり取り、逆手でリモコンをこね回す、
「ピッ、カチャッ」デッキの再生音が一人暮らしの寂しさを更に刺激する。
「ビデオレターたまんねぇ」映像に合わせて、口元を歪ませる。
「男のビデオレターにゃあこれだよ」ラッシュを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「馬鹿息子、出来た嫁」「目に入れても痛くない孫」
頃合いをみて栓を引き抜く。俺は自分のこの時間が好きだ。
白い細紐だけがはらに残り、ぴかぴかの幼稚園の制服に、前垂れ垂らして、手を振り、左手で嫁の手を引っ張り、右手でキャッキャと倅の手を引く。
ブラウン管の中の孫は、日本一の御姫様になっていた。
「ちきしょうあいつにも見せてやりテェよ」写真立てを見ると、いつもそう思った。ラッシュをもう一度効かせ、線香を立てると、映像へ向かってまっしぐらだ。
「正月は遊びにくる」「日中一人の年金暮らしの男」
「うりゃ、そりゃ」「グスッ、グスッ」目から汗を飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」喉の奥から、むず痒いうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
―会いてぇ――正月まで待てねぇ―もどかしい気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
・・・三箇日
ピンポーン
「きたっ」俺は膝を垂直に立て、玄関へ向かう。奔流は堰を切ろうとしていた。
「やぁ、大きくなったね! 」「おじいちゃんこんにちわ!」
クレヨンの似顔絵を見せられて、細い目尻が垂れ下がる。
真っ白い時間が過ぎても、まだ夢の中にいるようだ。
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