臭ぇぜ、ワッショイ! ローディーワッショイ!と叫びながら、ローラー台にセットしたロードに跨る。
嗅ぎ比べ、一番ゴム臭がキツイやつを主食に選ぶ。
そのヴィットリアには、雨の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
そのタイヤを締めてた奴は、言問い通りで一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチT-モバイル野郎だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、T−モバイル野郎臭ぇぜ!俺が先行してやるぜ!と絶叫し、
ペダルをいっそう激しく扱く。
他のタイヤは、ミイラのようにヘルメットやレーパンに巻き付け、
T-モバイル野郎のヴィットリアを口に銜えながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながら回転数を上げまくる。
そろそろ限界だ。
俺はギアをインからアウトに変則し、T-モバイル野郎の先に、思いっきりリードする。
どうだ!気持良いか!俺も良いぜ!と叫びながら回転数を上げ続ける。
本当にエースを援護しているようで、ムチャクチャ気持ち良い。
T-モバイル野郎のタイヤは、俺の雄汗でベトベトに汚される。
T-モバイル野郎、山岳賞はもうお前のもんだぜ!
俺のレースが済んだあと、他のタイヤとまとめて、ジップロックに入れ押し入れにしまい込む。
また来年、新作タイヤを手に入れるまで、オカズに使う。
押し入れにはそんな古タイヤがいくつも仕舞ってあるんだぜ。