科学が勃興するルネッサンス期以前、ヨーロッパではペストが猛威を振るい、死が
日常にあった。人間は、自然に対して絶望的に無力であり、なすすべもなかった。
科学には、人間の生存と言う絶対的希望が託されていたのだった。
現代になって、死なない事が当たり前なり、科学は、もっぱら飽和状態の幸福の追求
に向けられるようになったが、それでも生存への飽くなき追求は続いている。
目下の所、幸福を実感できる事への兆戦が急務なのは、皮肉な事である。