「張力で支える構造よりも圧縮力で支える構造の方が簡単だ」
と思っている人が一定比率いるらしいのは不思議だな。

例えば数十メートルの高さのある〈構造物〉を作ることを想像してみるといい。
張力で支える構造の典型は、凧糸でつないだ水素風船で、
構造材料の質量は数十グラム、材料費は数百円といったところだろう。
しかし、圧縮力で支える構造で数十mの高さの〈構造物〉を作るとしたら、
工学的最適解(竹棒を組み合わせたトラス構造の細長い三角錐?)でも、
数万円の費用と何十kgかの構造材料が必要になるはずだ。

張力で支える構造の場合、力の方向がずれたら〈構造物〉も曲がってしまうから、
力は常に〈構造物〉の軸に対して真っ直ぐかかる。
それに対して圧縮力で支える構造の場合、力の方向が軸からずれたら、
ずれが大きくなる方向にフィードバックがかかって、歪みの形で力が働くことになる。
張力構造と圧縮力構造の根本的な違いはそこにある。

理論的説明が判りにくかったら、竹ひごを折ることをイメージするといい。
曲げを拡大する形で折るのは簡単だが、真っ直ぐ引っ張ってちぎるのは難しい。
端的に言ってそれが、張力構造の方が材料が少なくて済む理由である。