いまこの瞬間も数え切れない動物が生きたまま別の動物に食われて死んでいるに
違いない。生きたまま食われていく哀れな動物たちは耐えがたい痛みと恐怖、
絶望に襲われているに違いない。
生物の進化は、死にゆく動物の神経系や大脳に、死の恐怖と苦痛をやわらげて
穏やかな諦観を与える回路を用意するほどに慈悲深いとは思えない。

知恵の実を手にした人間だけが、確実に訪れる死の定めを知り、その代償に
死後の世界の幻想と甘美な快楽を作り上げ、死の恐怖からおびえる事を
やめたのだと思う。