>>477
この話には、じつは後日談があります。

非常識を超えた発想で、前代未聞の珍発明ばかりしている、
ルナティックで有名な私には、常に監視の目が付いているので、
ゴルフ場の造成現場で掘り起こされた奇妙な岩を大事そうに持ち帰ったことは、
すぐに、産業スパイさん達の間で話題になったようです。

そこで、最もこの業界で優れたテクニックを持っているとされる、あるスパイさんが、
私の自宅に幾重にも張り巡らされた、奇想天外なセキュリティーシステムを掻い潜り、
隕石を小脇に抱えて、家の外の暗闇に脱出することに、見事成功なさったようです。
当時は隕石を木箱に入れていたので、体力さえあれば、簡単に持ち運べました。

ところが、磁気の外乱によって発生する直感像の幻覚は、
暗闇の中に行くと、鋭敏な精神状態になって、鮮明に見えてしまうという特性があり、
予め暗示を与えられていると、その種の暗示に則した幻覚を見やすい傾向があります。
屋外の暗闇に出たところで、この方は悲鳴をあげてしまったようでした。
深夜に轟く絶叫に驚いて、飛び起きた私達が駆けつけてみると、
哀れ、この方は口から泡を吹いて、昏倒した状態で発見されました。
持っている木箱には、「神龍が宿って守っています。取り扱い注意。」と書いてありました。

どうなったかというと、神龍が守っているという謎めいた言葉を読んでも、意味が判らず、
気掛かりな不安を残した状態で、真っ暗な屋外に一歩踏み出してしまったようなのです。
脳に磁気の外乱を受けているため、気掛かりな神龍の直感像が発生してしまったのでしょう。
なんでも、龍が突然現れて体に食い付かれたことまでは、憶えているのだそうです。
私なら、RPGで龍と戦い慣れていますから、咄嗟にレーバンテインなどの武具一式を、
イメージングすることで装備し、幻の神龍とその場で戦って余裕で勝てる自信がありますが、
この方は、ドラゴンと戦う方法を知らなかった(イメージできなかった)ため、
隕石を守っている磁気の化身である龍に、あっさりと精神を食われてしまったみたいです。