<人工クモの糸>カナダの企業と米軍が開発 既存の繊維より丈夫

 【ワシントン斗ケ沢秀俊】カナダの企業と米軍の共同研究グループが、クモの糸の遺伝子をほ乳類の細胞に入れ、クモの糸とほぼ同じ性質の繊維を作ることに世界で初めて成功し、18日発行の米科学誌「サイエンス」で発表した。
既存の繊維よりも丈夫で、医療用縫合糸や釣り糸、防弾チョッキなどに幅広く応用できるという。

 発表したのはカナダのネクシア・バイオテクノロジーズ社と米陸軍の研究グループ。
クモの糸は軽くて強いうえ、プラスチックと違って生物分解で容易に無害化できる生体適応型、環境保全型の新繊維材料として注目されていた。

 研究グループは、同心円状に巣を作るクモが持っている糸を生成する遺伝子2個をハムスターの腎臓と牛の細胞に導入し、クモの糸のもとになるたんぱく質を作らせた。
このたんぱく質の水溶液から糸を紡いだ。

 糸は直径0・02ミリ程度。糸を繊維にして測定したところ、クモの糸よりも粘性がやや少ないほかは、クモの糸とほぼ同等だった。
単位重量当たりの強度は、宇宙服などの材料として知られる高強度のケプラー繊維や鉄を上回るという。

 同グループは99年から共同研究に取り組んでいた。最初は大腸菌に導入したが、作られたたんぱく質が水溶性ではなく、糸にできなかった。ほ乳類の細胞を使うと、水溶性になった。

 同社はこの研究と並行して、体細胞クローン技術で誕生させたヤギにクモの糸の遺伝子を導入し、クモの糸のたんぱく質を含む乳を出させる方法を開発した。
すでに量産体制を確立しており、今年上半期中に「バイオスチール」の商品名で販売を開始する方針だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020118-00001005-mai-soci