少しずつ体を滑らせ悪あがきする俺を、やつはスコープ越しに可愛らしく思っているのだろう。俺も芋ってた頃、そんな風に考えてた時期があった。

 「1、2、3」M95 スナイパーライフルの銃声、覚悟を決めた瞬間、地響きとともに黒く巨大な影に包みこまれ反射的に目を閉じた。「マリア様?」

 体に痛みは感じない、解除ボタンもしっかり握っている、ゆっくり目を開けた。M1A2エイブラムズ戦車。マリアの正体だ。

 スナイパーに気が付いた操縦士が、スナイピングコースを塞いでくれたようだ、解除を確認した後戦車は、スナイパーの居る建物に主砲を2,3発打ち込み素早く戦線に向かっていった、優秀なやつだ。

 その後のことはあまり覚えていない、ただ、戦いに負けたことと、操縦士に思いを馳せ、不覚にも俺の先っちょが濡れていたこと以外は。

追伸
 なぜあの時スナイパーは、MRTR 5(迫撃砲要請指示器)を使わなかったのだろう?装備していなかっただけか、タイミングが遅れたのか、スナイピングに酔っていたのか、まあ、今となってはどうでもいい事だが。