【大阪のIR誘致、割れる地元財界 推進・慎重両派に聞く】
朝日新聞 2017年1月17日18時27分
http://www.asahi.com/articles/ASJDV5Q6XJDVPLFA00G.html

 カジノや大型の会議場などを組み合わせた統合型リゾート(IR)の実現をめざす「カジノ解禁法」が
昨年12月に成立した。大阪府や大阪市は誘致に前のめりだが、地元の経済界は賛否が分かれる。
推進側に立つ関西経済連合会の森詳介会長(76)=関西電力相談役=と、慎重な大阪商工会議所
の尾崎裕会頭(66)=大阪ガス会長=にそれぞれ話を聞いた。

■「万博前提にセットでやるしか」関西経済連合会・森詳介会長

 「2025年に開催をめざす大阪万博を誘致すべきだと関経連として判断したとき、万博の候補地で
ある夢洲(ゆめしま)などベイエリアの開発や、インフラ整備などを限られた時間でやろうとすれば、
現実的には万博とIRをセットにしてやるしか方法がない、と考えた」

 「万博は誘致できるか分からないが、せっかくやるんだから、誘致できる前提で考えなければならな
い。万博を経済的に効率のいいものにするために、万博で造った施設を終わったら壊すのではなく、
IRでも活用するのが一番現実的だ」

 「そのためにも候補地の夢洲を将来、どんな街にするのか、ビジョンを描き、そこにIRと万博をセット
にして位置づけていくことが大事だ」

 「夢洲の街づくりは、多くの人を呼び込めるようなものにするべきだ。そのためにIRは有効だし、テー
マパークのようなものもアイデアとしてはいい。集客ができないと、地下鉄を延ばすなどのインフラの
整備も進まない」

 「カジノには、ギャンブル依存症の問題があるが、今でもギャンブル依存症の人はいるし、ほかの依
存症もある。カジノをつくるなら、ギャンブルに限らず、いろんな依存症の人が減るような施策を積極的
にやって、今よりも健全な生活を送る人が増えたと評価されるようにすべきだ」

■「活性化の一丁目一番地なのか」大阪商工会議所・尾崎裕会頭

 「カジノには反社会的勢力の関与や、ギャンブル依存症など様々な懸念がある。(政府や自治体が)
どういう対策をとるのか注目している。3万人いる大商の会員の間では、『人が来てにぎやかになるか
らええやないか』という意見もあれば、『カジノで街おこしをしていいのか』という人もいて、意見が分か
れている」

 「カジノがマネーロンダリング(資金洗浄)に使われないかとか、街の雰囲気が悪くならないかとか、
そういう心配もある。きちんと規制をかければいいと言うが、誘致を進める大阪市などに聞かなければ
いけないことはたくさんある」

 「IRで大阪に多くの雇用が生まれるなら、中小企業の人手不足はより深刻になるおそれがある。大商
としては、ものづくりや商売で街を活性化したいし、そうしたことで雇用を生み出すのが本来の姿だと考
えている」

 「カジノが大阪、関西の活性化の『一丁目一番地』(代表的なプロジェクト)かと言えば、それは違うでし
ょう。国内外の観光客に楽しんでもらえるものは、食や文化などほかにもたくさんある。カジノができて、
想定通り人が来ればプラスアルファにはなるが、できなかったら活性化ができないかと言えば、そんな
ことはないんじゃないかと思う」