住職らしき人が出てきて娘を見るなり、俺に向かって「何をやった!」って言ってきた。
山に入って、変な奴を見たことを言うと、残念そうな顔をして、気休めにしかならないだろうが、
と言いながらお経をあげて娘の肩と背中をバンバン叩き出した。
住職が泊まってけというので、娘が心配だったこともあって、泊めてもらうことにした。
娘は「ヤマノケ」(住職はそう呼んでた)に憑かれたらしく、49日経ってもこの状態が続くなら一生このまま、
正気に戻ることはないらしい。住職はそうならないように、娘を預かって、何とかヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。
妻にも俺と住職から電話して、なんとか信じてもらった。住職が言うには、あのまま家に帰っていたら、
妻にもヤマノケが憑いてしまっただろうと。ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜くまでは、妻も娘に会えないらしい。
一週間たったが、娘はまだ住職のとこにいる。毎日様子を見に行ってるが、もう娘じゃないみたいだ。
いつも熱っぽい顔をして、俺と話すときも落ち着きが無い。辛いのか、時折んんっ!と声を挙げてもじもじしている。
心細いのか、住職をチラチラ見ているのが哀れだ。
それを住職が、なんともいえない目つきで見ている。
帰り際に住職が娘に、「今日は違ったお祓い棒を試してみよう、もう物足りないだろう」とか儀式の話?をしているのが聞こえた。
早くもとの娘に戻って欲しい。