一雄は、ある日小高い丘を歩いていた。

頂上にあった大きな木の横を通り過ぎようとするとき、
一雄は木の根につまづき、その大きな木の幹に頭を嫌というほどぶつけてしまった。

すると、みるみるうちにその木のうろから煙が湧き出て、
その煙の中からひとりの老人が現れた。

「わしを呼んだのは誰じゃ」
「べつに呼んでないよ。おじいさんは誰だい」
「わしは野球の神様じゃ」
「野球の神様なの!? 僕野球が大好きなんだ。」
「ほう、おまえは野球が好きなのか」
「うん、こないだのパレードにも行ったんだ。ジョーにサインもらったんだぜ。
 かっこよかったなあ、みんな。」
「この日本でも野球が行われているが、見たことがあるかね?」
「もちろんあるさ、いつも後楽園に行くんだ。小さい頃からお父さんに連れてってもらってたからね」
「そうか。日本の野球はこれからどうなると思うかね?」
「これからどんどん強くなるさ。今はアメリカのほうが強いかもしれないけど、
 いつか日本がどんどん強くなって、アメリカもやっつけて、日本が世界で一番強くなるんだ。
 それを見るのが僕の夢なんだ」
「日本が世界で一番強くなるのを見たいのか」
「うん!すごく見たいよ」
「そうか。ではその願いを叶えてやる」
「ほんと!」
「わしは野球の神様じゃ、嘘はつかん。ただ、それには三つだけ条件がある」