僕の弟子は女子高生だ。
断っておくが、今風の容姿ではない。
眼鏡をかけ、色白で、腰まで伸びた髪の毛をそのままに、制服も今時珍しい膝下のスカート。
内面は見たまま。内気で恥ずかしがり屋の、おっちょこちょいな少女だ。

先日も(ギターのレッスンだというのに)家にギターを忘れ、途方に暮れた。
数ヶ月前、ライブに連れて行ったときも緊張の余りに、舞台のモニターにギターをぶつけていた。
何故、こんないたいけでドジな女子高生が、ギターを習いたいと申し出てきたのだろう。

「・・・師匠」
唯一彼女が、誇れるパーツだと自負する、桃色のやわらかい唇が動いた。
「・・・チューナァ・・・忘れました」
かすかな声で告げられる、忘れ物報告。僕は慣れたようにチューナーを渡す。

「大丈夫?チューニングでき・・・」

ばちん。

いわんこっちゃない。そっちは音を上げる方向だと言っているのに、思い切りまわすから。
弦はだらしなく切れて、だらんと下がった。

「・・・・えっと・・4弦だね」
「ごっ・・・ごめんなさい」
「いいよ、そこは切れやすいから」