サイモン・ラトル
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0332名無しの笛の踊り
NGNGてきましたが、今日のラトルはとびきり個性的で、密度の高い演奏
は説得力にも溢れていました。まず全体にオーソドックスでスピー
ドも中庸。しかし随所に納得のいく解釈が行われていて、まるで彼
の描く設計図通りにウィーンフィルを導くと同時に、生命力を吹き
込む魔術師ラトルといったところでしょうか。
第1、第2ヴァイオリンを左右に広げたレイアウトも音のパノラマ
を演出するのに効果的でした。ベートーヴェンの描く音楽を空間で
認識できるためか、とても明晰な印象を受けました。例えば交響曲
1番1楽章の第2主題がオーボエで提示される箇所で、第2Vnの
上昇音形と第1Vnの下降音形が連続するパッセージは左右を走る
響きが空間の広がりを感じさせていました。特にラトルの息吹が顕
著となり始めたのはメヌエットでした。くっきりとしたアクセント
やスフォルツァンドによるメリハリがとても鮮やかでしたし、トリ
オ開始部における木管パッセージのデクレッシェンドも心憎いばか
りに効果的。そしてフィナーレでのアダージョはスピードを極限ま
で落として、続くアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェを快速に聞か
せるコントラストは見事でした。第1主題進行中30小節目におけ
るティンパニの連打も実にパワフルで、若きベートーヴェンの躍動
とラトルの表情の豊かさがオーバーラップするようでもありまし
た。
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