第一カンタータ年間の台本を、バッハの音楽にアプローチする際に、なるべくすんなり
と乗り越えるべき障害物だとか、取るに足らないものとして受け取るのは、誤りといわ
なくてはならない。台本はむしろ、バッハの音楽を理解する上でのひとつの重要な鍵で
ある。(中略)バッハのカンタータは―時に不可解な部分に出くわすとはいえ―われわれ
を強くひきつける。その魅力はまさに、自律的な音楽形成と言う「ひたむきさ」と、歌
詞の音楽的意味付けという「しつこさ」との、息づまる緊張関係から生まれるのだ。
  ―マルティン・ゲック著小林義武監修『ヨハン・ゼバスティアン・バッハ』第2巻S.123(東京書籍)