フレーズの一つ一つ、あるいは響きのふとした瞬間の佇まいの一つ一つが、驚くほど味わい深く、コクがあり、魅力的だった。

作曲者の晩年の心情や、あるいは遠く過ぎ去ったはずの彼の生きた時代が、目前に蘇るかのように迫ってくるように感じられた。

現出するサウンドの背後にある緻密なテンポの設計が、設計として感じられず、音楽の大きなうねりとして生きていた。

ルイージがこれほど凄い指揮者だとは正直思っていなかった。

確かにこれは、かつてクライバーが聴かせてくれたブラームスを彷彿させた。
しかし、その解釈はクライバーの真似ではなく、ルイージが独自に作品に切り込んで見出した世界だった。