楽学ブックス 古寺巡礼9
太子ゆかりの三十三ヵ寺めぐり
聖徳太子の寺を歩く
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橘寺
聖徳太子誕生
省略、そののどかな風景の中に、聖徳太子の生誕伝承地の一つ、橘寺が立っている。
「我に救世の願いがあるので、しばらくあなたの腹に宿りたい」
欽明天皇三十二年(五七一)正月元旦の夜のこと、橘豊日皇子(後の用明天皇)の妃・
穴穂部間人皇女の夢枕に、全身が燦然と金色に輝く一人の僧が立った。
「あなたは誰ですか」と妃が問うと、「我は救世の菩薩である」と答える。
驚いた妃が「私は夫のある身。そのような尊い方を汚されている身に宿させることは
できません」と断ると、金色の僧は「我は汚穢は厭わない、ただ少しき人間に
感ぜんことを望むだけだ」と告げる。僧の言葉に妃が思わず「ともかく仰せに従います」
というと、金色の僧はいたく喜んだ様子で一筋の光と化して妃の口から胎内に入った。
続く。