交響曲の名曲・名盤 故 宇野 功芳先生。講談社現代新書
ブルックナー交響曲第6番イ長調
一八八一年、五十七歳の作。中期の交響曲なのに初期のような小さい
形をを持ち、楽想の特徴も弱いため、地味な存在で、あまり演奏も
されないが、「第一」や「第二」を好む人は絶対に聴かなければならない。
 この曲の欠点は第三楽章スケルツォとフィナーレが内容的に
落ちることだが、それを補うのが最初の二つの楽章なのだ。
 とくにアダージョの魅力には抗しがたいものがある。彼岸の音楽と
いったらよいのだろうが、聴いていて別世界に誘われてしまう。
別の世からの風が吹いているのである。それは自然界の詩情とともに
やってくる。晴れた秋の日のような清らかな寂光が実にすばらしい。
推薦盤 ヨッフム/バイエルン放送交響楽団(グラモフォン)
ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(RCA)旧盤。
新盤は1996.8に小石、宇野先生推薦盤で特選盤。レコード芸術月評
特選盤。1980―2010の交響曲編下巻の100頁に書かれている。