>>85 おおざっぱに言えば、シェイクスピアの『ロメオとジュリエット』は、
こう進行しているのである。そして、チャイコフスキーの音楽も、見事に
それに従っているのだ。細かいことを言えば、クラシックにはソナタ形式とか
ロンド形式とか、いろんな形式があり、この曲だって、それと無関係では
ないのだが、とりあえず、そうしたことはどうでもいい。曲を聴きながら、
このドラマがどのように音楽化されているかを目撃しよう。
 幸いにも、この曲にはセルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・
フィルハーモニー管弦楽団の模範的ですばらしいCDが存在する。
数多くのCDが売られているが、この音楽がどのように発想され、
どのように組み立てられ、何を表現しているのかをこれほどまでに
クッキリと示した演奏はほかにない。私はこのCDを最初に聴いたとき、
そのあまりのすばらしさに、仰天しまくった。世界中で売られている
あらゆる曲のあらゆるCDのなかでも超一級品であろう。
もっと値段の安いCDもあるが、そんなのに惑わされることなく、
何がなんでもこのCDを聴きながら以下を読み進めていただければ
バッチリわかる。以下、音楽の箇所を示すために時間を示すが、
これはチェリビダッケのCDによる(CDプレイヤーによって、時間表示に
わずかな違いが出ることもあるらしい)。