指揮者とオーケストラ キーワード事典編集部編 洋泉社
チェリビタッケ 西欧的自我を超越し、音楽の絶対的 宇宙的秩序を
希求する巨匠
確かに、彼がなぜに仏教に帰依したかについて雑誌のインタビューに
答えてべらべらしゃべっている姿(彼を知らない人は、眼光鋭い白髪の
三船敏郎だと思えば間違いないでしょう)なんて見たくもないけれど。
 彼の演奏を聴くと、「しかし団員がよく彼の指揮について行っているなあ」
といつも思う。彼の指揮ぶりは、遅いときは本当に遅く、釈迦滅後56億7000万
年後に弥勒菩薩がやってきて人々を救ってくれる、といった気の長さだから
である。私は、彼の芸術を一番理解できるのは日本人であってほしいと
思っている。輪廻転生、諸法無我、涅槃寂静といった思想は、我々にとっては
なじみやすいものであり、彼の「音楽が基本的に何か絶対的な宇宙の秩序を
指し示す」ために演奏されるという姿勢を理解できると思うからである。
以下、省略。ショルティの運命についてもこの本はいろいろ掲載されている。