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それはそのライブ盤を売るための嘘。

クライバーは、熱狂的なライブでは実現できない、正反対なデリケートで静謐なトリスタンとイゾルデ全曲盤の録音をしたかった。

ワーグナーの指定通りに16歳のイゾルデを見つけるのは無理だけど声質的に若く抒情的な声で歌うイゾルデを欲しかったから、モーツァルトの伯爵婦人歌いのマーガレット・プライスに何度も断られながらも執拗に懇願して実現できた。

デリケートで静謐で記憶の奥底から聴こえてくるようなトリスタンとイゾルデ。

そのために古色な弦の音色のドレスデンのオーケストラを選び、録音もオンではなくオフマイクで。
繋がりを大切にするために幕内のレコードの終わりと始めはフェードアウトとフェードインで。
聴き手に、フルトベングラー盤での記憶と繋がるようにディースカウに同じ役を歌わせて、同じように羊飼いに仙人のような響きを持つ往年のデルモータを。

ノスタルジックで記憶の奥底から聴こえてくるように、このようないろいろな仕掛けを散りばめた中にリゲンツァは異質。

あえてリゲンツァの名誉を守るための流言でしょうね。