モーツァルトの不思議は、あれほど毒気のない音楽が、にも関わらず、今日の批評に耐え、多くの人に愛聴されている事実だと思う。
ベートーベンは、カフェインのない珈琲が味気のないものであり、ノンアルコールビールは不味いものであり、お人好しが女にモテないということを知っていた。
ベートーベンの音楽はモーツァルトに比べてより過激で粗暴な音楽で、それはまた意図的に演出されたものだ。
ブラームスが「我々はもはやモーツァルトのように美しくは書けない」と言ったのもそういうことだろう。
聴衆は貪欲で飽きっぽく、表現はどんどんエスカレートせざるを得ない。
色んな添加物を加えて分かり易い味付けにしなければ売れなくなった。

モーツァルト以前の音楽はいかにも古臭く、モーツァルト以降の音楽はいささか病んでいるように思う。