『小澤征爾さんと、音楽について話をする』より抜粋

村上
「日本の音楽家には、と十把一絡げにするといけないんだろうけど、高い技術はあっても、技法として破綻のない、平均点の高い音楽を演奏できても、明確な世界観がこっちに伝わってこないというケースが少なくないような気がします。
自分独自のこういう世界を立ち上げて、それをそのままナマに人に伝えたい、という意識がいささか弱いんじゃないかと」

小澤
「そういうのって、音楽にとってはいちばんまずいことですよね。そういうのをやり始めると、音楽そのものの意味が失われてしまいます。本当に下手をすると、エレベーター音楽になってしまう。
エレベーターに乗ったらどこからともなく流れてくる音楽。ああいうのがいちばん恐ろしい種類の音楽だと、僕は思うんです」