例えば「正しい音程で弾いているほど、楽器は鳴りやすくなる・・・」、「楽器をホワイトノイズで振動させ、エージングすると良く鳴るようになる・・・」、
「楽器を機械弓で鳴らし続けたが、特に変化は見られなかった・・・」等、様々です。私の考えとしては、上記の説は、ある側面では正しく、そしてある側面で
は誤りであると考えます。
 例えば上記の最初の事柄に関して考えてみましょう。正しい音程で楽器を振動させるということは、先ほど述べましたように、楽器の構造的強度に微妙な変
化を与えます。従って音色が変わることは不思議な現象ではありません。しかしそれが「正しい音程」でなければどうかは、何とも言えません。というのは「
正しい音程」とはひとつではないからです。例えば、純正調においては音程自体に幅があります、従ってもしも「正しい音程」でなければならないのなら、ハ長
調で良く鳴る楽器はヘ長調では鳴らないということになるはずです。しかし、実際の良い楽器において、この様なことはありません。それどころか、良い楽器は
音程の狂った音(例えば現代音楽など)でも良い音で鳴るのです。