しかも、この作曲家は、このような登場人物の深層心理を読み取って、
じつに淡々と音楽化している。あるいみで残酷といえるほどのクールさで。
それでいてドラマを盛り上げる手腕のほうも尋常ではない。
この作品はチェコのローカル音楽というレベルは完全に飛び抜けていると思うんだよね。

もちろん、第一幕での若者の乱痴気騒や、第三幕の女声合唱などは
おそらく地元の民族音楽を取り入れているであろうことは推察される。
しかし全体をみれば、この作品は随所随所に現代音楽の洗練されたひびきが感じられるし、
間違いなくローカル音楽ではなく、今に生きている現在の音楽だと思う。

今回の公演を聴くと、逆にプッチーニのほうがイタリアのローカル音楽で、
Rシュトラウスのほうがドイツのローカル音楽ではないのかね、とすら思えてきた。

新国のパンフレットをみると、この作曲家を一貫して
単なるローカル音楽家としてしか取り扱っていないところは残念だね。
劇場側がこの程度の発想では、観客が集まるわけがねえんじゃないかい。