モーツァルトのオペラと同時代の大物作曲家のオペラとを聴き比べると、
モーツァルトがどうして生前あまり成功できなかったのか
音楽家として出世できなかったのか というのがよく分かると思います。
その時代は大方、オペラの出来不出来で作曲家の評価が決まる時代。
売れっ子作曲家はオペラに専念し、器楽曲なんかの作曲は余業。
ソナタや交響曲なんかチマチマ作曲しても作曲家としてはたいして評価されない。
だからモーツァルトもまた、常にオペラで成功することを夢見て、手紙でも夢を語っています。

モーツァルトのオペラのどこが駄目なのかというと、まず各アリアの旋律が魅力的でないこと。
旋律の魅力が勝負のオペラ(特にオペラセリア)ではこれは致命傷になります。
皮肉にもモーツァルトは器楽曲でのほうが美しい旋律を残している。
モーツァルトのオペラを聴くことは決して拷問とは言わないが、退屈な作業になりがちです。

もう1つ駄目な点は、モーツァルトは劇場での成功体験が少ないせいなのか、音楽劇としての抑揚のつけ方、
盛り上げ方が稚拙で下手糞。だから全体が非常に平板で変化に乏しく、退屈さを助長させてしまう。

そんなのウソだーと思う人は、モーツァルトの「ルーチョ・シッラ」「イドメネオ」
そして晩年の「ラ・クレメンツァ・ディ・ティト」と
先輩作曲家の1人J.C.バッハの「ザナイーダ」「ラ・クレメンツァ・ディ・シピオーネ」
「アマディス・ド・ゴール」
の各々3作品ずつを自分で聴き比べてみて下さい。
モーツァルトの方が少し後発なのに、音楽的魅力で完敗してます。
他のオペラの大家と比べても同じことですが。
J.C.バッハのその3作品は海外盤なら簡単に入手できます。
モーツァルトのオペラを聴いてオペラは退屈だと思っていた人は、
オペラってこんなに魅力的な音楽だったんだと驚くことと思います。
オペラが退屈なのではなく、モールァルトのオペラに退屈なものが多かったということなんです。