コーホーは著書「名曲とともに」の中でそのへんの事情を説明というか
釈明している。しょうがないから書き写すぞ。

・・・かつて「ブルーノ・ワルター」という著書の第一版で、大失敗をやってしまったのである。
ぼく自身、SPのこわさは人一倍良く知っているので、
試聴用のレコードには万全の注意をはらったのだが、
たった一組、マーラーの「第九」だけは戦争中に出た粗悪なニッチク盤しか
手に入らなかったので、止むを得ず、それによって批評を加えたのである。
後から知ったことだが、このSPは盤質が悪いだけではなく、
外盤のSPからのダビングだったのだ。つまり、二重に音が劣化していたことになる。
(略)
ワルターのマーラー「第九」が今度GRの復刻盤(エンジェルGR2255〜6)で
出たのを聴いて、そのあまりのすばらしさに驚嘆したからである。
(略)
今度のマーラーの美しさは言語道断である。
(略)
ところが困るのは、音が良くなったのにつれて、演奏の印象が
まったく別物に変ってしまったことである。
ぼくは「ブルーノ・ワルター」の本の中で(略)と書いたが、
これはとんでもない誤りで、読者の方々には
深くお詫びしなければならない。