私は渡辺範彦氏の弟子でもなんでもありません。
248氏の「範彦さん」という優しい響きに惹かれて、同じようにそう呼ばせていただいただけです。

範彦氏の魔笛は、NHKの「名曲アルバム」で初めて聞きました。
当時、私は中学生で、魔笛といえばセゴビアとイエペスの演奏しか知りませんでしたから、
範彦氏の魔笛はかなり衝撃的でしたね。リズムを崩さずに生き生きと歌っている。
こういう魔笛もあるのか、と。

先ほど『幻のライブ』の魔笛を聞き返してみました。
名曲アルバムで聞いた魔笛も、こんな感じだったように思いますが、
初めて聞いた時のような感銘は、もう得られません。
セゴビアのような天衣無縫のルバートを排した、より「楽譜に忠実」な、
正統派スタイルでの立派な演奏だと思います。

第2変奏を高ポジションで開始して、甘ったるく歌わせるところなどには、
セゴビアの影響を強く感じました。
運指指定の無い楽譜を見ていると、
ここは第1ポジションで開始して、インテンポで葬送行進曲風に弾くのが、
ソルの意図に近いのではないかと、私には思えます。
ベートーヴェンのピアノソナタ第12番第3楽章のような感じでしょうか。

ここまで完全にスルーされてしまっているXavier Collは、第2変奏を
ローポジションで開始していますね。
https://www.youtube.com/watch?v=acJrNn9WRaA
この点についてはバルエコも同様です。
https://www.youtube.com/watch?v=mKbAa3VMa9U