ベームは人並み以上に長生きしたし、録音も多数残してくれた。
惜しむらくは、1950年代末期あたりにBPOとベートーヴェンの交響曲全集を
残してもらえなかったことだ。ベームは晩年に身体を悪くしたが、あの年齢を考えれば
仕方あるまい。
カラヤンも長生きしたと言っていいだろうが、不思議なのは、酒やたばこにおぼれていた
わけでもなければ特に不健康な悪癖を持っていたわけでもないのに、晩年の身体の衰え
が異様に顕著だったことだ。日本の写真週刊誌にヨボヨボの姿を激写されたらしいが、
確かに晩年の映像を見ると、壮年期とは動きが全然違っている。
カラヤンの身体の衰えは謎だ。

バーンスタインはこの三人の中では最も若くして亡くなった。彼の場合はリサール中も
ウイスキーをあおり続け、タバコを吸い続けながらだったというくらいだから、比較的早く
亡くなったのも仕方がないのかもしれない。

この三人の中で「枯れた」のはベームだけだった。カラヤンは晩年は美麗主義ではなく
音楽に情念を込めるようになったし、バーンスタインも同様で、カラヤンより粘着質に
なった。こういう芸風の違いはどこから来るのか、さすがの批評家の大先生たちも
解き明かせないでいるようだ。