都響の演奏でマーラーの第10交響曲を聴いたのは、同じサントリー・ホールでのバルシャイ版日本初演以来(勿論バルシャイの指揮)です。

都響のポディアムに初めて登場した頃に比べると、インバルの指揮も表現主義的で鋭角な刺々しさが少なくなり、ヒタヒタと穏やかに心に沁み入ってくるような演奏でした。

特に第5楽章は、まるで煉獄の底からの諦念を感じさせるフルート・ソロの旋律が、弦楽合奏によって力強く骨太に再現される終結部に、マーラーの肯定的で前向きな人生観を感じた次第です。

マーラー最後の境地は、大地の歌や第9交響曲よりもずっと、救いがあるように思われます。

インバルも遂に一般参賀の拍手を受ける年齢になったなあと、マゼール没後の諸行無常観も一入のコンサートでございました。