もっとも悲劇的な、苦渋に満ちた交響曲を書いた人は誰か? 
 耳が聞こえず孤独に悩んだベートーヴェンだろうか。
 ペシミストだったチャイコフスキーか。それとも、妻のことで
 悩んだマーラーか。死の不安に怯えていたショスタコーヴィチか。
 あるいは・・・。もちろん世界中に存在するすべての交響曲を
 聴いたわけではないが、知っている範囲でよいというなら、
 私の答は決まっている。
 佐村河内守の交響曲第1番である。

  (きょみつとし 音楽評論家、慶応大学教授)