じゃぁ俺もひとつ。
他人に聴かれるのが恥ずかしくていつも森の泉のほとりに腰かけて禁遊を練習していたんだが
あまりの下手くそっぷりに我ながら腹が立ってギターを泉の中へ放り込んだ。
もうギターなんてやめよう・・・・そう思って帰ろうと歩き出すと後ろから呼び止める声がした。
「お待ちなさい。いつも美しい演奏をありがとう。」
振り返ると泉の中から頭をもたげた龍がいた。森の主だ。
「あなたが落としたのはこのギターですか?」
なんとそれはハウザーだった。
「いいえ、ちがいます。」
「ではこちら?」
今度はフレタだった。
「いいえ、それもちがいます。」
「正直なギタリストさん、私はあなたの清らかな心に打たれました。ぜひあなたのお嫁さんにしてください。」
龍はまばゆい光に包まれ、一人の女性へと姿を変えた。
「いつも私の側で美しい曲を奏でてください。ふたり一緒に幸せになりましょう。」

そのブスに手渡された楽器は間違いなく俺のアベガットだった。