831じゃないけど、俺は以前とある地方の駅の地下通路で、
アコギで弾き語りしてたんだ。
顔なじみの常連のストリートミュージシャンが何人かいて、
お互いに譲り合って仲良くやってた。

そんなある日、見かけたことのないオッサンが一人で
ギターを背負ってやってきて隅っこのほうでおもむろに
ギターを弾き始めた。
やけに小ぶりのギターで、声を張り上げて歌うわけでもなく
ただ黙々とギターを演奏してる。

最初は遠くで聞いてたからよくわからなかった。
全然知らない曲だけど、伴奏はたしかにギターのアルペジオだ。
それくらいは、コードをかき鳴らすことしかできない俺でもわかる。
どこかで聞いたことのあるような哀愁の漂うメロディは、
最初はマンドリンかなんかで演奏してるのかな?と思った。

それにしてはギター持ったオッサンは一人しか見えないし。
で近づいてみて手元を覗き込むようにして、伴奏もメロディも
全部一人で弾いてるんだってわかって心底驚いた。

演奏し終わったそのオッサンに、いまのはなんだ?って聞いたら
「アルハンブラの思い出」って曲だと教えてくれた。
使ってるのはクラシックギターで、ナイロン弦が張ってあることも
教えてもらった。

それから家に帰ってネットで調べたり楽器屋に行ったりして
どんどんクラシックギターの世界に引き込まれていった。
楽器屋で安いクラギを買って、その楽器屋の2階にある教室で
クラギを習い始めたのがいまから5年くらい前だ。