車谷長吉の短編集「妖談」のなかの一作、「殴る蹴る」をまだ読んだことのない人には、ぜひともこれを一読することをお勧めする。

三浦雅士氏の解説から引用する。

「ドイツ文学者として有名なある大学教授が、ゲーテの『ファウスト』の一節、
ファウスト博士が『すべての学問は灰色だッ。』と嘆く場面を講釈して、
『僕くらいの大学者になると、こういうファウスト博士の嘆きがよく分かるんだ。』と呟いた瞬間、
作者を思わせる主人公が『えッ、誰が大学者なの。』と言って、クラス中の笑いを誘い、
件の大学教授が授業を打ち切りにしてしまうという話である。」

この13ページに及ぶ三浦氏の解説はなかなかの読物だぞ。
ちなみにこの「ドイツ文学者として有名なある大学教授」とはかの相良守峯先生のことである。
車谷長吉、恐るべし!いや、最高!