ここで用いられているのは、いま聴いていただいたようにグリッサンド、ポルタメントですね。
つまり音程をひとつひとつはっきりと「ド・ミ・ソ」みたいに音が飛ぶんじゃなくて、ドからミ
まで、ニューッ、ヒューッ、ピョ〜〜みたいに指を滑らせて、音を上下させる奏法をやたら使っ
ています。いわゆる地滑りが起きているというか、液状化しているような感じを音楽で表そうと
しているわけですね。これは弓や指で音程を自由に調節できる弦楽器ならではの弾き方といえま
すね。蚊とか蜂とか蠅が飛んでるように思われた方もあるかもしれませんが、ひじょうに不安定
な状態を表している音楽として聴くことができると思います。

(『現代政治と現代音楽』30〜31ページより引用。)