http://blog.livedoor.jp/minhir3151/archives/51198407.html


まだ棺を覆っていない段階で敢えて言うが、吉田秀和氏の「役割」は疾うの昔に終わっていて、
ここ数十年はむしろ若者に悪影響を及ぼしてきたのではないか、とさえ思う。

モーツァルトに関する文章でデビューしたこともあってか、小林秀雄氏(合唱のほうではない)とも親交があったが、
今読んでもそれでモーツァルトへの理解が深まるとは思えない。
氏のモーツァルトへの愛情は十分伝わってくるのだが、むしろ「音楽後進国」に生まれ育った恨みつらみが言葉の端々に透けて見えた。
モーツァルトならモーツァルトの音楽が何故美しいのか、ということには真剣に取り組むのだが、
何故それが人の(それも日本人の)心を打つのか、ということには無頓着だったように感じられる。

音楽情報誌への信頼が喪われたことを総て氏の責任にする心算はないが、
氏が体現してきた「音楽評論」の今日の有り樣を見る時、一つの時代の消滅を知る